Storm -ただ "あなた" のもとへ-
「どれ?
こっちの山?」
ばさばさと視線を走らせながら、書類をめくっていく。
もう集中していた。
2キロ・・3キロか。
フェリックスは綺樹の体に視線を走らせた。
顔色も悪い。
目の充血から見ると今日だけの徹夜では無い。
肌の光沢も・・。
フェリックスはうなじから襟元から見える鎖骨に視線を這わせていた。
「これ、駄目。
丸をつけた。
そこの要項は不備だ。
直させて。
その先は見ていない、もう一度最後まで確認させたら回して。
その時に続きを見るから」
綺樹はフェリックスを見もせず、書類を差し出しながら次の書類を手に取った。
一向に受け取る様子が無いのに、綺樹はやっと顔を上げた。