Storm -ただ "あなた" のもとへ-

「過労死、か」

「そうよ」


さやかはあっさりと認めた。


「でも、仕事を取り上げたり、減らしたりは出来ない。
 理由はわかっているでしょう?
 彼女もわかっている。
 余計なことを考える時間ができると、自虐的な方向に行ってしまうと。
 拒食症を再発されるのはごめんよ。
 だったらどちらの方が長生きしてもらえるのか。
 私は今の状況だと思っている。
 だから好きにさせている」


フェリックスはもう一つため息をついた。


「ところでフェリックス。
 スペインでの一ヶ月、何があったのかしら?」

わかっているくせに聞く。

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