Storm -ただ "あなた" のもとへ-

「私はあなただから、オルジュアンを下がらせたのよ。
 あなたもミハイロフを遠ざけたのは、そういう意味じゃないの?」


ある意味ではそうだ。

他の男に触らせたくなかった。

フェリックスは質問を無視した。


「そっちで大学のときの旧友が仕事をしている。
 そいつを主治医につける」


今度はさやかがため息をついた。

フェリックスの中で決まったことを読んだのだろう。


「わかったわ」


電話を切り、フェリックスは指でしばらく机を叩いていた。

だがいい考えは思い浮かばなかった。
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