Storm -ただ "あなた" のもとへ-
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一定期間ごとに、当主の仕事のため、スペインに戻ってくるのが約束だった。
ニューヨークから朝一で帰ってくると、そのまま書斎に入って仕事をしているらしい。
いつもの時間に屋敷に出勤してきたフェリックスはそう執事から聞いた。
そして仕事は立て込む時に立て込む。
それでなのか、綺樹がイライラしているのが伝わっていた。
フェリックスはとりあえず放っておいた。
「夕食だぞ」
二つの部屋を繋いでいる開けっ放しのドアをノックして言うと、邪魔された綺樹はぎろりと睨みあげた。
「いらない。
行って来てくれ」
フェリックスのもう一度行くぞと言った口調に、綺樹は書類を乱暴に置き、椅子から立ち上がった。
椅子が急に乗り手を失った勢いで揺れた。
「いい時間つぶしだ」
すれ違いざまに呟いて大階段を下りていく。