Storm -ただ "あなた" のもとへ-
フェリックスは鼻先で笑って後ろをついていった。
綺樹の背中を見つめる。
2週間に一回、血液検査をさせていた。
その結果はメールで届く。
睡眠薬の処方の仕方も変えてもらった。
栄養剤も処方してある。
しかし、まずほとんど食べないのが問題だ。
拒食症の再発が心配されていた。
今夜もほとんど口をつけていなかった。
食べるということに、興味を示していなかった。
イライラと食べ物をフォークで捏ね繰り回している。
「行儀悪いぞ」
ワイングラスを傾けながら、フェリックスはその様子をちらりと見た。
医者としてその動きを観察し、手の回復が順調なのに安心する。
綺樹はフォークを置き、ナプキンをテーブルに置いた。