Storm -ただ "あなた" のもとへ-
綺樹はぴたりと足をとめると、獣のような目を向けて再び手を伸ばした。
「早くよこせよ」
フェリックスはじっとみていた綺樹から目を離すとグラスを開けた。
「付いて来い」
大階段をあがり、部屋のドアを開ける。
メモでもくれるものだと思い、後ろから付いていっていた綺樹は、ドアを閉めたがその場から動かなかった。
探るようにフェリックスの動きを目で追う。
フェリックスはカフスを外しだした。
「私が相手をする」
その部屋は当主の、そして綺樹の寝室だった。
どっちかなと思っていたけど。
対外的に一番安全な方を選んだか。
信用が無いことだ。
綺樹はフェリックスが相手になることも、十分予想していた。
なるほどね。
綺樹は自分のシャツのボタンを外そうとしたら、ベッドに放り投げられた。
フェリックスが馬乗りになる。
「優しくしないぞ。
文句言うな」