Storm -ただ "あなた" のもとへ-

綺樹の意地悪く光る目が、乱れた髪の間から見上げた。


「優しく?
 そんな抱き方出来たのか?」


フェリックスの瞳がぎらりと光った。


「その通りだ」


ただ綺樹も負けていなかった。

格闘のようなのが終わった途端、綺樹は眠りに落ちていった。

眠りというよりも、目を閉じたその瞬時に電池が切れたようだった。

フェリックスは隣で横たわったまま、ひじをついて頭を支え、寝姿を眺めていた。

飢えてガツガツとした様子に、主導権をとられまいと結構必死だった。

口元で笑いをつくると、綺樹の上にかかっているシーツをゆっくりとひいた。

全身が現れてくる。

フェリックスは空いている片手をうなじから背中に滑らせる。

いくどか往復させて肌の感触を楽しんだ。
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