Storm -ただ "あなた" のもとへ-
逆光で表情が読み取れなくなる。
シルエットを綺樹はぼんやりと見つめていた。
すらりとした長身。
だがしっかりと鍛えられている体。
彫が深い横顔。
殆ど笑わないが、その無表情さがセクシーだと噂をしているのを聞いたことがある。
「裏だろう?」
綺樹は答えた。
「そうだ。
裏の世界とも縁深いからだ。
一族の一部は裏社会だ」
その言葉に綺樹の頭の中で急速にパズルがはめ込まれていく。
息を詰めた。
あれだけの仕打ちが出来る者を、自分を殺すためにわざわざ用意したのではなか
った。
元からグループの一員なのだ。
差し向けただけだ。
そしてその裏社会のトップは。
綺樹は唾を飲み込んだ。
こいつの父親だ。