Storm -ただ "あなた" のもとへ-
「綺樹?」
フェリックスが異変に気が付いた。
「なんでもない。
大丈夫」
綺樹は拾うと思って書類に手を伸ばした。
携帯が今度は落ちた。
「綺樹」
フェリックスの声に緊張が走る。
目の前が回って気持ち悪い。
綺樹は両膝をついた。
目を閉じて、手探りで携帯を探して耳に当てた。
「ごめん。
ちょっと落としただけだ」
目を閉じても、頭の中がぐらぐらするのに床に身を横たえた。
「どうしたの?」
眠いのかもしれない。
フェリックスが何か言っている。
「ごめん。
何?
聞き落とした」