Storm -ただ "あなた" のもとへ-
「成介か?
久しぶりだな」
成介は呼吸一つ分、間を空けた。
「この頃、なかなか連絡が付きませんでしたね」
含みの多さにフェリックスは苦笑した。
「取り込んでいた」
そっけなく答えると、電話の向こうで成介は微笑したようだった。
「いい情報がある。
君の希望が叶いそうだ」
「もちろん、あなたのもでしょう」
フェリックスは低く笑い声を漏らす。
「君の腕次第だが」
「信頼していただいて結構ですよ」
「そうだろうな」
慇懃な返答に、期待していないような声で切り返し、フェリックスは主のいない隣の書斎へのドアを見つめながら、話し始めた。