Storm -ただ "あなた" のもとへ-
「そう?
なんだか随分、年増になってた。
それにあんな女っぽい顔じゃない」
口を尖らせて言うのに、ユーリーはますます笑った。
何年後には肖像画の通り、妖しい魅力な美人になりそうだと思っていることは言わないでおいた。
「ねえ、ユーリー。
いつからフェリックスと友達なの?
大学で寮部屋が一緒だったの?」
「んーと。
5歳ぐらいかな。
正しくは幼馴染」
「へえ」
妙に感心した顔になる。
「フェリックスがそんなに長い間、友好関係を築けるんだ」
「それは一重に、僕の忍耐と性格の良さのお蔭だけどね」
「ああ、うん。
そう思う」
当のフェリックスは、無視して医学雑誌を読み続けている。
綺樹が猫のような微笑を浮かべて、座っていたソファーから身を乗り出した。
「なんか面白いネタない?
あいつ、強請るのに」
「そうだなあ」
ユーリーはちらりとフェリックスを見た。