Storm -ただ "あなた" のもとへ-
「涼とルークは同じコロンを使っているのね」
ドアが閉まる。
綺樹は声を出して笑い出した。
その通りです。
呟いて席に戻る。
一体、何をどうするって言うんだ。
待っていたかのように携帯が鳴ったのに、耳に当てた。
「はい?」
「おはよう。
番号、変わってなかったんだな」
涼の声に綺樹は一瞬言葉が出てこなかった。
「そうだね。
どうしたの?」
今朝は波乱万丈だ。
綺樹はこめかみを押さえた。
「明日、いったん日本に帰国するんだ。
だから今日、ランチかディナーはどうかと思って?」
綺樹は条件反射的に自分の予定を確認してしまった。