Storm -ただ "あなた" のもとへ-
あの時、ワルツを踊りながらフェリックスに問うと、串刺しにすべく差し向けたことは否定した。
鼻先で笑い、嘲笑を浮かべていた。
確かにそうだ。
首謀者ならば、自ら執刀して助けないだろう。
今頃、あの世にいる筈だ。
だが、と思う。
何か裏があるのかもしれない。
あるいは、他に首謀者がいるのか。
いないのか。
更に先程、フェリックスはウルゴイティの屋敷にいることは危険だといい、領有地管理のシステムも軌道に載ったから、ダバリードの仕事を再開していいと言った。
この真意はなんだろう。
それに。
綺樹は目を閉じた。
“恨まなくてなんなんだ”
成介の言葉がよみがえった。