Storm -ただ "あなた" のもとへ-

あの時、ワルツを踊りながらフェリックスに問うと、串刺しにすべく差し向けたことは否定した。

鼻先で笑い、嘲笑を浮かべていた。

確かにそうだ。

首謀者ならば、自ら執刀して助けないだろう。

今頃、あの世にいる筈だ。

だが、と思う。

何か裏があるのかもしれない。

あるいは、他に首謀者がいるのか。

いないのか。

更に先程、フェリックスはウルゴイティの屋敷にいることは危険だといい、領有地管理のシステムも軌道に載ったから、ダバリードの仕事を再開していいと言った。

この真意はなんだろう。

それに。

綺樹は目を閉じた。

“恨まなくてなんなんだ”

成介の言葉がよみがえった。
< 25 / 448 >

この作品をシェア

pagetop