Storm -ただ "あなた" のもとへ-
*
真夜中になるというのに、ドアフォンがけたたましく押された。
その押し方にまさかと思ったが、モニターを見てやはり綺樹なのにフェリックス
は驚いた。
普通に考えると、このアパルトメントに来るとは、およそ考えられなかった。
無言でロックを外す。
フェリックスはガウンを羽織ると玄関へ向かった。
ちょうどエレベーターで上がってきた綺樹が入ってきた。
「なんだ?」
「女はいるの?」
フェリックスは口を開いてから閉じると息を吐いた。
「どうした?」
「寝に来た」
綺樹の顔色は土気色だった。
「こっちにこい」
腕を掴み、寝室に連れ込むと乱暴にくちびるを合わせて、服をはぐ。
綺樹はどことなく放心状態だった。
問いただすよりも、早目に終わらせた方が得策と、フェリックスは判断していた。
そして終わるか否か、やはりフェリックスに全体重がかかってきた。
最中もずっと眠気と戦っているようだった。