Storm -ただ "あなた" のもとへ-

   *

真夜中になるというのに、ドアフォンがけたたましく押された。

その押し方にまさかと思ったが、モニターを見てやはり綺樹なのにフェリックス
は驚いた。

普通に考えると、このアパルトメントに来るとは、およそ考えられなかった。

無言でロックを外す。

フェリックスはガウンを羽織ると玄関へ向かった。

ちょうどエレベーターで上がってきた綺樹が入ってきた。


「なんだ?」

「女はいるの?」


フェリックスは口を開いてから閉じると息を吐いた。


「どうした?」

「寝に来た」


綺樹の顔色は土気色だった。


「こっちにこい」


腕を掴み、寝室に連れ込むと乱暴にくちびるを合わせて、服をはぐ。

綺樹はどことなく放心状態だった。

問いただすよりも、早目に終わらせた方が得策と、フェリックスは判断していた。

そして終わるか否か、やはりフェリックスに全体重がかかってきた。

最中もずっと眠気と戦っているようだった。
< 254 / 448 >

この作品をシェア

pagetop