Storm -ただ "あなた" のもとへ-
切なげで優しい眼差しにぶつかると、綺樹の瞳は憂鬱な色になり、後悔の表情を浮かべた。
安易に挑発に乗ってしまったというところなのだろう。
「寒くないか?」
冷え込みが厳しくなってきた。
「寒い」
遠慮なく返された。
涼は更に抱き寄せる。
「おまえは」
顔を涼の胸にうずめている形になり、声がくぐもって聞こえる。
「こんな生活になって後悔していないの?」
「後悔って。
炊きつけたの、おまえだろ。
というか、いつ写真集に気が付いたんだ?」
「ライナの家に泊まってた時。
泥酔して帰った日、ベッドを貸してくれただろ。
机の上に教科書が並んでいる中にあったから。
特別なんだろうって思った」
「そんな前か」
驚いて顔をのぞきこむ。