Storm -ただ "あなた" のもとへ-

   *

密やかで軽やかな物音が段々と綺樹を眠りから抜け出させていた。

最後に自分のくしゃみで目を覚ました。

自分を抱き締めるようにして辺りを見回す。

すでに服を着た涼がサンドイッチを作っていた。


「目が覚めたか?
 早く、服を着ろ。
 風邪ひくぞ」


綺樹はそっけない口調に鼻にしわをよせた。


「ご丁寧に。
 もうとっくに風邪をいただいた感じだよ」


涼はちらりと綺樹へ視線を投げた。


「わけわからない日本語を使うなよ」


綺樹はむうっとして眉間にしわをよせた。


「シャワー浴びたい」

「水しかでないから止めておいたほうがいい」


綺樹はドレスを拾うために屈みこんだ姿勢のまま顔をあげた。


「なんだって?」


涼は顔を向けた。
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