Storm -ただ "あなた" のもとへ-
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密やかで軽やかな物音が段々と綺樹を眠りから抜け出させていた。
最後に自分のくしゃみで目を覚ました。
自分を抱き締めるようにして辺りを見回す。
すでに服を着た涼がサンドイッチを作っていた。
「目が覚めたか?
早く、服を着ろ。
風邪ひくぞ」
綺樹はそっけない口調に鼻にしわをよせた。
「ご丁寧に。
もうとっくに風邪をいただいた感じだよ」
涼はちらりと綺樹へ視線を投げた。
「わけわからない日本語を使うなよ」
綺樹はむうっとして眉間にしわをよせた。
「シャワー浴びたい」
「水しかでないから止めておいたほうがいい」
綺樹はドレスを拾うために屈みこんだ姿勢のまま顔をあげた。
「なんだって?」
涼は顔を向けた。