Storm -ただ "あなた" のもとへ-
「ああ。
それが条件でダバリードの仕事をやらせてもらっているし。
ほっぽりだしたら、フェリックスが激昂する。
あげくに縛り付けられるのが山だ」
軽く笑い声をあげてから、綺樹は倒れこむように涼の首に抱きついた。
「いってきます」
息を吐くように呟く。
そのままじっとしているのに寝てしまったのかと思って、顔をのぞこうとすると綺樹は身を離した。
軽くくちびるをあわせて出て行く。
弁当でも持たせるかな。
涼はその後姿を見て思ったが、頭に走った激痛に眉をしかめた。
キッチンの引き出しに入れていた頭痛薬を飲む。
この所、時折、キリで差し込まれるような頭痛に襲われていた。
薬があまり効かない。
医者に行くか。
綺樹と違って縁遠いところだけに、気が進まなかった。
もう少し様子を見よう。
そう涼は思った。