Storm -ただ "あなた" のもとへ-

  *

携帯電話の着信はダバリード総帥のさやかからだった。

かかってくる場合、綺樹に関しての事しかない。

嫌な予感がした。


「女王?」

「フェリックス。
 同じ過ちを繰り返す訳にはいかないわ」


開口一番の言葉だった。

何を言っているのかはわかる。


「つまり?」

「そうね。
 どうしましょうか?」


既に決定しているのだろうに。

フェリックスは椅子の背によりかかった。

静かな書斎に、椅子がきしむ音が響く。


「だけどあの二人は、互いの」


フェリックスは言葉を探した。

求めかた、という言葉は使いたくなかった。


「依存度は、尋常じゃないぞ」

「だからこそ“美しき思い出”でするべきじゃないかしら?
 別のものに縛り付けて」


フェリックスはしばし黙り込んだ。
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