Storm -ただ "あなた" のもとへ-
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綺樹はふと左手にはまっている指輪に時々目を留めていた。
一度目の結婚の時に使った指輪に、もう一つ日にちを彫ってもらった。
またこの指輪をはめることになるとは。
とても不思議だった。
そして結婚していることも不思議だった。
結婚したことで別に涼との生活に変化はなかった。
ただ涼に落ち着いた感じが出て、ほっとした。
綺樹自身も涼の隣だと良く眠れた。
あれほど眠れない日々だったのに。
もっとも寝る時間はほとんどないのだけど。
綺樹は口元で歪めた笑いを作った。
土曜日からスペインに来ていた。
フェリックスの存在は涼にはとても心配らしかった。
前日の夜は珍しく涼にしてはしつこくて、中々離そうとしなかった。
そういうのも悪くない。
思い出すと声が聞きたくなる。