Storm -ただ "あなた" のもとへ-

綺樹は目を閉じた。

本当に、あれほど努力しても直ぐに元の木阿弥だ。

どっぷりと溺れている。

自分に呆れてしまう。

携帯が震えているのにはっとして慌てて手に取った。


「綺樹?」


涼の声にふっと体の力が抜けた。


「うん」

「まだ仕事か」

「うん」


涼がため息を吐いた。


「そうか。
 体が心配だ。
 早く寝ろよ」

「わかった」


綺樹は身じろぎした。
< 434 / 448 >

この作品をシェア

pagetop