Storm -ただ "あなた" のもとへ-
「涼は何をやってるの?」
「これから夕食だ」
「そうか」
ごくごく普通の会話がこれほど楽しいとは。
綺樹は自分がとても可笑しかった。
平凡に暮らすとはこういうことなのか。
ウルゴイティの一族にお披露目の晩餐会と、西園寺の方の披露パーティーが終われば、抱えている仕事も落ち着いてくる頃だろうし。
切れた携帯電話をデスクにおいて、パソコンに戻る。
本当に涼とのんびりと暮らしていけるかもしれない。
思い描き、望んでいた家族が、私にも手に入るかもしれない。