Storm -ただ "あなた" のもとへ-

  *

あんなことを言ったからだろうか、綺樹はペントハウスに戻ってくるのに0
時は超えないようになった。

涼自身も仕事で疲れていて、寝てしまっているときもあったし、そうでなく
ても1時間ぐらいが起きている限界だったが、少しでも会話が交わせるようになった。

目を覚ますと必ず綺樹の寝顔が隣にあって、それが嬉しかった。

いや、違った。

必ずじゃない。

隣で寝た形跡がないのに書斎を覗くと、机につっぷして寝ている時もあった。

うるさく言うからだろう。

なるべく涼が起きる前に、ベッドに滑り込むようになっていた。

綺樹の寝顔をしばらくみつめていたが、顔にかかっている横の髪を指でなぜ上げる。

顔の線に指を滑らせて、くちびるをなぜた。

綺樹が目をあけて、状況がわかると涼の首に腕を回した。

キスしてくれる。

そのまま首筋に顔を埋めるとまた寝てしまった。


「っつ」


思わず声をもらした。
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