Storm -ただ "あなた" のもとへ-
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あんなことを言ったからだろうか、綺樹はペントハウスに戻ってくるのに0
時は超えないようになった。
涼自身も仕事で疲れていて、寝てしまっているときもあったし、そうでなく
ても1時間ぐらいが起きている限界だったが、少しでも会話が交わせるようになった。
目を覚ますと必ず綺樹の寝顔が隣にあって、それが嬉しかった。
いや、違った。
必ずじゃない。
隣で寝た形跡がないのに書斎を覗くと、机につっぷして寝ている時もあった。
うるさく言うからだろう。
なるべく涼が起きる前に、ベッドに滑り込むようになっていた。
綺樹の寝顔をしばらくみつめていたが、顔にかかっている横の髪を指でなぜ上げる。
顔の線に指を滑らせて、くちびるをなぜた。
綺樹が目をあけて、状況がわかると涼の首に腕を回した。
キスしてくれる。
そのまま首筋に顔を埋めるとまた寝てしまった。
「っつ」
思わず声をもらした。