Storm -ただ "あなた" のもとへ-

「とりあえず、俺だけで聞いておくよ。
 夜、報告する」


綺樹は携帯を握りなおした、


「兄貴を。
 兄貴に連絡する。
 医者だから医療用語もわかるし」


病院を聞いてから携帯を切った。

深呼吸をくりかえす。

全然、落ち着けない。

兄の尚希に電話をして、状況を話すと向こうも黙り込んだ。


「会議が終わったら、私も直ぐに行くから」

「そうだね」


綺樹は携帯を閉じた。

集中しないと。

今は、会議に集中しないと。

ああ、神様。

あなたは超えられない困難は与えないはず。

綺樹は祈らずにいられなかった。
< 440 / 448 >

この作品をシェア

pagetop