Storm -ただ "あなた" のもとへ-
こんな時に夕食か。
涼はちらりと綺樹を見下ろした。
「しょうがないだろう。
くよくよしたって。
なるようにしかならない」
確かにそうかもしれないが、そういうもんじゃないだろう。
綺樹は廊下のベンチに座り込んだ。
涼はため息をついて隣に腰をおろした。
「手術を受ける気はない」
ぎょっとして振り仰ぐ。
「なんだって」
「人には決められた寿命がある。
手術をしたって成功しないさ。
しても、長くないだろう。
たぶん、ここが俺の寿命なんじゃないか?」
綺樹は穴の開くほど涼の顔をみつめる。
なんだって、この男は淡々としているのだ。
「おまえから解放されるのも悪くない」