Storm -ただ "あなた" のもとへ-

「それと離婚、しておこう」


涼の空気が逆立ったのを感じる。


「性格や趣向が変わったら、おまえを愛していく自信は無い。
 長いリハビリも私は支えられない。
 今は自分の事で一杯一杯だ。
 だから」


医者の説明に、長く疑問だったことが、すとんと納得できた。

涼がタイプでもない自分を追ってきた理由。

止めたくとも止めらない理由。

そんな理由だったのか。

もの凄く勝手なことを言っているのは百も承知だった。

逃げだってことも。

涼もめちゃくちゃだと思った。

それだったら手術をしないと言いたかった。

ただこの年月で、綺樹の裏を読めるようになっていた。

もし性格が変わって、趣向が変わった場合。

特に女性の趣向が変わった場合を恐れているのだろう。

結婚の事実によって、自分に縛り付けておくのが苦しいのだ。
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