Storm -ただ "あなた" のもとへ-
肌が触れ合うほどの距離で、綺樹が軽く酔っている事に今更に気が付いた。
だから少し陽気な様子だったのか。
シャツの襟元から伸びる首筋がほのかに染まっている。
彼女が自分のシャツを着ている姿は萌えるって聞いたことがあったが。
萌えるというのではなく。
涼が口をつぐんだのに、視線が絡み合った。
どちらが先に腕を伸ばしたのかわからない。
多分、同時だ。
くちびるを合わせながら、もどかしく服を脱がせる。
自分が言った“またな”という言葉の効力の弱さが、とても歯がゆかった。
もう来ないかもしれない。
そう思うと街へと飛び出し、姿を求めて彷徨いそうだった。