Storm -ただ "あなた" のもとへ-
   *

「はあっ」


綺樹は息を吐き、四肢を突っぱねた。

オラジュワンは満足そうに声を漏らすと、綺樹の両足の間から顔を離し、身を沈めて好きなように動き出した。

オラジュワンはいつもそうだ。

指と舌で綺樹をいかせてから、好き勝手に動く。

そして自分も果てた後は、綺樹を抱きしめ、耳元で甘い言葉を囁き続ける。

いつも殆ど聞かずに寝てしまうが。

涼に抱かれて24時間後には違う男と寝ている。

結局、私はそういう女だ。

ドア越しに涼を呼んだ、あの女の声が蘇る。

涼は彼女を恋人にするかもしれない。

今、こうしている間に、同じように寝ているかもしれない。

いや、単に寝る相手にすぎないなら気にしない。

大事な人。

心から思いやる相手。

私が手に入れられなかったもの。

だとして。

気にしてどうする。

もう関係ない。
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