Storm -ただ "あなた" のもとへ-
オラジュアンと過ごしたホテルから直接出勤すると、さやかが綺樹の部屋に現れた。
「どうしたの?
女王」
綺樹は椅子から立ち上がると、デスクを回ってさやかの向かいに座る。
「どう?
二人を手玉にとっている気分は?」
「ああ、上々だよ」
厭味ったらしく返した。
「どっちがよさそう?」
綺樹は組んだ足に頬杖をつき、煙草をくわえたまま、じろりと睨んだ。
「どっち?
さやかが選んだオラジュアンはセクシーで、ベッドの中もとてもいい。
だけど話している分には退屈だ。
あっちも好みは金髪のセクシー美女さ。
だから将来は愛人を作ることが目に見えている。
フェリックスの選んだ、ミハイロフとは話が続く。
でもベッドの中はタイプじゃない。
私が早々に愛人を作りそうだ」
さやかは涼やかに笑った。