Storm -ただ "あなた" のもとへ-

オラジュアンと過ごしたホテルから直接出勤すると、さやかが綺樹の部屋に現れた。


「どうしたの?
 女王」


綺樹は椅子から立ち上がると、デスクを回ってさやかの向かいに座る。


「どう?
 二人を手玉にとっている気分は?」

「ああ、上々だよ」


厭味ったらしく返した。


「どっちがよさそう?」


綺樹は組んだ足に頬杖をつき、煙草をくわえたまま、じろりと睨んだ。


「どっち?
 さやかが選んだオラジュアンはセクシーで、ベッドの中もとてもいい。
 だけど話している分には退屈だ。
 あっちも好みは金髪のセクシー美女さ。
 だから将来は愛人を作ることが目に見えている。
 フェリックスの選んだ、ミハイロフとは話が続く。
 でもベッドの中はタイプじゃない。
 私が早々に愛人を作りそうだ」


さやかは涼やかに笑った。
< 59 / 448 >

この作品をシェア

pagetop