Storm -ただ "あなた" のもとへ-
「そう。
サラとはそれでダメになったのか。
てっきりフェリックスのことだ。
飽きたのかと思ってたよ」
「それは誤解だな」
駄目になった点か、綺樹のフェリックスについての理解の点か。
どの点が誤解なのか、ユーリーはそれ以上は言わなかった。
廊下の絨毯を踏みしめ、絵画や彫刻の横を通り過ぎて部屋に戻る。
ベッドにもぐりこみ、とってきた本を数ページ読んで手が止まった。
フェリックスが選んだ女とはどんなだろう。
ブロンド?
ブルネット?
なんにせよ、レベルは高いのだろう。
そうか、そもそもあの館の娘たちは全て極上だ。
絹のような髪の毛。
繻子のような肌。
そして従順。
綺樹は目を閉じた。
所詮、男はいつだってそういう女を選ぶ。
いつだって。