Storm -ただ "あなた" のもとへ-

「フェリックス。
 私はあの二人のどちらとも結婚しない。
 するとすれば、おまえだ。
 おまえにとってもいい話ではないの?
 ウルゴイティが真実共におまえのものになるんだよ」


フェリックスはただ笑った。

その笑いの意味がわかって、綺樹も微笑した。

ドアが閉じられると、フェリックスは綺樹の座っていた椅子に座り、しばらく身動きもせず、思考も止める。

そんな自分に笑った。

あの女の嫉妬はある男に対してしか作動しない。

わかっているのに、一瞬、疑った。

考えたものだな。

今のことをさやかにも言うだろう。

そうなると、さやかからのプレッシャーがこちらにかかってくる。

結婚なんてごめんだ。

他の男を愛している綺樹と結婚なんて冗談じゃない。

さて、どうしようか。
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