Storm -ただ "あなた" のもとへ-
「どいつも、こいつも」
その後は英語で鋭く毒づいた。
涼はキッチン台によりかかった。
「どっちにするんだ?」
綺樹は表情の抜けた顔でしばらく涼を見つめていたが、やがて苦笑して、顔の半分を片手で覆った。
「おまえが決めてくれる?」
涼は空いた壜をシンクの中に置いて静かに見つめる。
「じゃあ。
どういう男なのか説明しろよ」
綺樹はテーブルに肘をつくと額を支えて俯いた。
「ベッドの中での様子?」
涼はくちびるを引き結び、よりかかっているカウンターを握りしめた。
沈黙が漂う。
「もし。
結婚をしても、こうやって会いに来たら、おまえどうする?」
「はあ?」
自分の返答に、俯いたままの綺樹のくちびるの両端が持ち上がり、笑ったのが見えた。
瞬後、硬直した。
綺樹が空いている片方の手で口を覆い、椅子から立ち上がる。
トイレの方へ行こうとしてよろめいたのに、腕を掴むとシンクへ引き寄せた。
「ここでいい。
吐いてしまえ」