Storm -ただ "あなた" のもとへ-

答えは決まりきっているだろう。

それが綺樹の結婚生活を壊すことになったとしても。

何度だって壊すだろう。

強い視線に誘われるように、綺樹は目を覚ました。

ぼんやりと見つめ返しながら、記憶をたどっているようだった。

やっと自分がどこにいて、どういう状況なのか、把握できたらしい。

そのまま腕をのばして、抱きつくと涼の頬に自分の頬を合わせた。

涼はふっと笑うと、素早く綺樹のくちびるに自分のをあわせ、手をシャツの下に滑り込ませる。

獲物に食らい付くような様子に驚いて綺樹は身をよじってかわそうとした。


「や。
 やめっ」


綺樹はもがいた。


「ストップ!涼」

「どうして?」


笑いを含んだ声で耳元にささやいた。


「やだって」


珍しく綺樹は半分脱がされかけていながらも反抗した。

不意に涼の動きが止まった。

掴み上げた、その剥出しになった腕を凝視しする。
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