Storm -ただ "あなた" のもとへ-

「早急に入院させた方がいい。
 拒食症の治療をするのが先決だろ」


涼はノブを掴み部屋に戻ろうとした。

握っていたノブが勝手に動いた。

ドアが開いて青白い顔の綺樹がいた。

グレースと涼の顔を交互に見た。


「そう。
 拒食症になっているの」


他人事のような口調だった。


「入院しなきゃならないの?
 それは嫌だな」

「したほうがいい。
 いくらなんでも悪すぎる」


綺樹は貝のように口を閉じた。

これは絶対に行かないな。

でもこのままでは悪くなる一方だ。

病院に送り込む手立てを思案していると、グレースが口を開いた。


「綺樹さま。
 涼さまを料理人に雇ってはどうでしょう」


二人とも目を向いてグレースを見つめた。
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