Storm -ただ "あなた" のもとへ-
3食おかゆ、という日々がしばらく続いてから、綺樹から食べたい物のリクエストがでるようになり、食べる量も増えてきた。
考えようによって、綺樹はいい雇い主だと思う。
一緒に住んだ仲だ。
彼女の生態をよくわかっている、ということもあるかもしれない。
そして早い内から会社で生きているからか、雇い人に対してとてもPoliteだ。
涼は冷静な目でそう判断していた。
彼女は元夫に対して、決して馴合のような態度は取らなかった。
かといって意固地にまで雇用関係を貫いた訳でもなかった。
同じ食卓につくことはなかったが、涼の食後の跡形づけが済めば一緒に居間でコーヒーを飲み、たわいのない話をする習慣もあった。
調理以外の時間、涼が何をしているのか把握しようとすることもない。
有り難い反面、淋しいような気がしたのも確かだった。
自分の方は、昼食や夕食がいらない日は、どういう理由か知りたくてしょうがない。
ビジネスなのか結婚相手候補との食事なのか。