Storm -ただ "あなた" のもとへ-
誰かと手合わせをしていた。

使用人だろうか。

それとも講師を雇ったのか。

面をつけていても、どっちがフェリックスなのかは一目で分かった。

見事に逆三角形の上体に、手足もしっかり筋肉が付いている。

今の手合わせも、力で相手を押していた。

だが相手も中々負けていない。

対照的にほっそりとしているが、体は造り込まれている。

しなやかな動きと、技術でフェリックスの攻撃を上手くかわしている。

時間は無制限らしかった。

体力で負けるか。

それとも集中力が途切れるか。

勝負はフェリックスが力で壁へ追い込むことでついた。

フェリックスの剣先が喉元を狙って止まる。

相手は両手を軽く挙げて降参を示した。


「ちぇっ。
 怪物」


ちょっと拗ねたように言って面をとると、輝く金髪が現れた。
< 9 / 448 >

この作品をシェア

pagetop