Storm -ただ "あなた" のもとへ-
もしかして、だから涼はここに来たんだろうか。
肱をついて片手で顔を覆った。
週末ごとに、会っているんだろうか。
もしかして、転々としながらも、ずっと前から会っているんだろうか。
いや、違う。
少なからずある女の感だった。
ならば再会する前に涼との雇用関係を切って、旅立たせればいい。
綺樹は口元を歪めた。
それでどうする?
会う二人は会う。
運命の二人は何したって。
ならば自分の手で会わせてしまおう。
それがプライドだし、自己満足だ。
とっくの前に私は涼を幸せにするって決めたのだから。
ふわりと力を抜くように綺樹は笑った。