青春アリーナ
 




俺の隣で目を閉じて、音楽に潜り込む那々をちらりと盗み見る。



俺は彼女が盲目である理由を知らない。知る気もあんまりない。



俺は馬鹿だけどさ、踏み込んじゃいけないトコロの線引きくらいできる。むしろそういう人間関係は得意分野だ。



ここまでだって割りきって、そこからは敷かれたレールに沿って列車を動かすだけ。



俺がもし、今の関係が壊れてしまうのが怖いだとかそんな少女漫画みたいな台詞を本心で並べることができる人間だったなら、きっとこんなに歪んでいないんだろうな。



けど踏み込むどころか考えることも怖いなんて、俺も意外と乙女なのかもしれない。





 
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