noir papillon
1. 生か死か
何も変わらぬ澄んだ青空。
陽は只地を照らし、風は優雅に吹き抜ける。
遂に切って落とされた戦いの火蓋。
始まってしまった生死を賭けた戦い。
生きる事を胸にハル達は柴架に挑む。
「さぁ、私を殺す為に身に付けたという力を見せてみろ!」
言葉と同時に指を鳴らす柴架。
するとそれを合図にハル達それそれの影に変化が現れる。
ぐらりと揺れたかと思うと影は鋭い刃へと姿を変え、猛スピードで彼らの身を襲う。
「くっ……」
瞬時に反応しそれを回避。
皆無事である筈だったが…
「ぐっ……かはっ……」
対処できず延びた刃をその身に受けたハル。
黒い刃は彼の心臓を貫いた。
「ハル!!」
「おっと、邪魔はしない約束だろ?」
血を吐き倒れゆくハルに駆け寄るが、寸前でカナメの前に立ちはだかる柴架。
彼女は嫌みに笑いカナメに触れる。
すると彼の姿は何処かへと消え去った。