noir papillon
「…馬鹿だ……私は……」
勝てる筈ないんだ。
適う筈がないんだ。
勝機など初めから皆無。
それ位分かっていた、その筈なのに立ち向かおうとして…
何て愚かで馬鹿げてるんだ…
馬鹿馬鹿しいにも程がある…
完全に戦意喪失したミヤビ。
握られていた剣はその手の中から滑り落ちる。
「武器も持たず何突っ立ってる。丸腰の状態で私の相手が務まるとでも?」
ミヤビの態度を不愉快に思ったのか、落ちた剣を手にした柴架はそれを振り上げる。
「っ……」
身体中に走る激痛。
舞う鮮血。
揺らめく身体。
霞みゆく視界。
武器も持たず魔法も使えない。
敵を前に逃げようともしないミヤビ。
鋭い刃は無防備な彼女の身体を簡単に斬り裂いた。