noir papillon


 「全員の無事を喜びたい所ですが、此処でこのまま呑気に話をしている訳にはいかないようですね」


 「そんな時間は全く無いのだ」


魔力を確認するタクミは前方を鋭く睨み、リッカは深く息を吐く。




 「私達は本来の目的を果たせばいいんだよね、ハル」


 「あぁ。今は只、目の前の敵を倒す事だけに集中しよう。見ての通り、俺には何の力も無い。皆の足を引っ張るかもしれない。でも、それでも共に戦い共に生きたいと思ってる。どんなに絶望しても駄目だと思っても、仲間の存在を忘れないで欲しい。そして信じて欲しい、共に戦う友の事を」


様々な思いを胸に、崩れ始めた壁を見つめる6人は立ち上がる。



この先彼等を待ち受けるのは希望の光か、はたまたそれを覆い隠す絶望の闇となるか。



それを知るのは誰一人として存在しない。


世を見据える神とて知る由もなかった。













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