noir papillon
「…っ……ハァ…ハァ……」
地に剣を刺しそれを支えにして立つミヤビは苦しそうに息をしながら血を吐いた。
乱暴に唇の血を拭う彼女は目の前の敵、柴架を睨み再び挑む為剣を引き抜く。
「いい加減諦めたらどうだ?お前みたいな無力な人間は、私には到底適いもしないのだから」
「くっ……」
ミヤビの足元に描かれる魔法陣。
それを力強く蹴った彼女は加速し柴架との距離を一気に詰める。
「あぁぁぁーー!!」
下段に構えた剣を振り上げた。
瞬時の攻撃。
素早い身のこなし。
防御の姿勢を取らない柴架を斬り裂く事が可能。
やっと深手を負わせる事ができる。
「残念。君はもう終わりだ」
感じない手応え。
舞わない鮮血。
刃が空を斬ったと分かった瞬間背後から聞こえた柴架の声。
見開く瞳に映るのは、鎌を振り上げ悪戯な笑みを浮かべる柴架の姿だった。