noir papillon
降り出した雨の中、滅んだ町中に独り佇み辛そうに荒い息を吐くミヤビ。
身体は傷だらけで血だらけで、痛々しいその姿。
剣を地に差ししがみつく彼女は立っているのも精一杯。
それでいてもなお柴架へと立ち向かう彼女だが、その身体を鋭い刃が貫いた。
「っ…くっ……」
噴き出す鮮血。
吐血する彼女の身体はグラリと揺れる。
脱力する身体。
霞む視界。
遠のく意識。
力無く倒れた彼女の身体から溢れる鮮血は地に広がり赤い水溜めを作り出す。
「残念、時間切れだ。今回もまた、私を殺す事は叶わないと言う訳だ」
遠くからミヤビの姿を見つめていた柴架は呟くと傘を広げ背を向ける。
「ゆっくりおやすみミヤビ。そして、さよなら」
コツリとヒールの音を響かせ姿を消す彼女。
そんな彼女を止める者は誰一人として存在しない。
降り出した雨の中、其処に立つ者の存在は無かった。