noir papillon
朝から降り始めた雨は一向に止む気配は無く、むしろそれは時間と共に強まっていた。
Dランクギルド、noir papillonのメンバーのたまり場と化した喫茶店soleil。
その二階から響くのは電話の着信を知らせるベルの音。
その音は何度も鳴り響くが皆知らぬふり。
誰も二階に上がり受話器を取ろうとはしない。
「ったく……」
依頼申請の電話だったらどうするんだ。
ため息混じりに仕方なく立ち上がるハルだが、席を立った瞬間ベルの音は鳴り止んだ。
「あぁあ、切れちゃった」
まるで直ぐに向かわなかったハルが悪いような言い草。
何で俺が悪いんだと腹を立てながら席に座り直すと、今度は喫茶店の電話が着信を知らせた。