noir papillon

怒りが頂点に達した男は雷撃を放つ。


目にも留まらぬ速さでカナメへと一直線に向かうそれだが、カナメの目前数ミリ、直撃する寸前で何故か突然軌道を変え壁に激突。


まるでカナメから逃げるように雷撃は方向を変えた。



しかし彼は何もしていない。
何の魔法も唱えていない筈なのに。




ドカリと椅子に座り腕を組む彼は男を睨み投げ出した脚で机を叩く。


すると立ち上がっていた男は何かに引かれるように椅子へと腰を下ろした。




 「1つ誤解を解いておこうか」


カナメの言葉を耳にするも何も言わないギルド長。

否、何も言えないが正しいか。
彼の放つ威圧感に皆が驚き怯え圧倒され、身動きを取る事さえもままならない。




 「君達はDランクギルドを最低、最下級、最弱だと思っているようだけど、それはとんでもない思い違いだ」


机の上に投げ出した脚を器用に組み替えるカナメは言葉を続ける。

向けられるさまざまな視線を気にする事無く。




 「Dランクギルドnoir papillon。このギルドこそ、最強の魔法使いの揃うギルド。君達よりもかなり強いよ、彼等は」


 「…馬鹿げた事を……ふざけるなよ……?」

 
 「ふざけてなんかないんだけどなぁ」


鋭く睨まれようとカナメはおどけた態度をとってみせる。




 「疑問に思わなかった?様々なギルドが成り立つ中で、Dランクギルドが何故たった1つしか存在しないのか」


 「……」


カナメの言葉に言葉を失う男。
その様子にカナメはニヤリと笑う。




 「それはたった1つしか成り立つ事がてきない程稀少な人材を集めたギルド。つまり、そのギルドこそが最も貴重で重要な存在っていう訳だよ。わかるかな?」












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