noir papillon
A~Cランクギルドは多々存在し、所属する人数は膨大な数である。
しかしそれに対しDランクギルドはただ1つ、noir papillonのみ。
そしてそこに所属するのはたったの5人。
今まで最弱で、足手まといで無能なクズの集まりだと散々罵られてきた彼等だが、本当の所彼等は此処に集まるギルド長の誰よりも強いという。
「DランクのDはdeathのD。死と隣合わせの任務、つまり、災厄の魔女と戦う為に創られたギルドなんだよ」
疲れたのか欠伸をするカナメは立ち上がり伸びをする。
「ま、信じるか否かは君達しだいだけど、ちょっと耐えられなくてね。俺の部下を馬鹿にし見下すその姿に」
だから真実を打ち明けたんだ、そう言うカナメは固まるギルド長達に背を向ける。
「…おい待て……!」
言いたい事だけ言って立ち去ろうとする彼を止める男。
その声にカナメは立ち止まり振り返るとギロリと男を睨んだ。
「何?まだ何か用?もしかして信じられないからそれを証明しろとか言わないよね?」
「……」
「まぁ別にいいけど」
一瞬の内に男の前へと移動したカナメ。
男の襟を掴み顔を近づける。
「さぁ魔法を使ってみろ。どんな魔法でも良い。君の最強の魔法でも。俺を殺す気でやってみろ」
「……」
カナメの脅しに男は口を開き魔法を唱えようとするが詠唱する呪文が出てこない。
カナメの放つ膨大で異常な程の魔力に鳥肌が立ち流れる冷や汗。
遠くに居るランク下のギルド長は口を押さえ吐き気をもよおしている。
「…フンッ……これで分かっただろ?」
机の上に立つカナメは男を見下し言うとそこから飛び降り姿を消した。
カナメから解放された男の前を過ぎ去る黒蝶。
ヒラヒラと優雅に舞うと何処からか抜け出し外へと飛び立った。