この恋は、絶対に秘密!
柔らかな朝日が差し込む部屋で、二人で向かい合って朝食を食べる。

岬さんが作ってくれた目玉焼きは絶妙な半熟で、私が彼を見る瞳みたいに蕩けていた。


なんて幸せな朝……
のはずなのに、私は浮かない気持ちで一杯だ。


だって岬さんといれる時間はもうあと僅か。
帰ったらまた面倒な話が待ってるんだもの…。



岬さんはそんなこと全く気に留めない様子で、トーストをかじりつつ新聞に目を通している。

本当に昨日の危険な香りを漂わせていた人だとは思えないくらいで、何も気にしていないように振る舞う彼はやっぱり大人だ。



結局私達の間に何を残すことも出来ず、“絵瑠”の役目は終わることになった。


少し切ないけれど、これでいいんだろう。

自分の姿を偽ったまま、いつまでもいられるわけじゃないのだから。


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