この恋は、絶対に秘密!
「……まぁ、気の済むまでやってみたらいいんじゃない」



上下に動くセクシーな喉仏に一瞬釘付けになっていると、岬さんの思いがけない言葉が耳に飛び込んできた。

私はその喉元から視線を離し、顔を上げて目をパチパチさせる。



「君、社会人なんだろ?仕事はどこで何を?」



突然聞かれてドキリとした。

だって同じ会社であることは絶対言えないし、代わりの答えも用意してないんだもの。


焦りつつも、真実と嘘を交えて怪しまれないように答える。



「えっと……事務、です。ここから近くの不動産屋の……」



こんな時にお父さんの会社を利用してゴメン、と心の中で謝る。

不動産屋の名前まで聞かれたらどうしようかとも思ったけれど、幸い岬さんはそれ以上追求しようとはせずに浅く頷いた。


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