この恋は、絶対に秘密!
「寝ちゃった……」



一人呟いた私は、側に置いてあったタオルケットを規則正しい寝息を立て始めた彼の身体にそっと掛けた。


なんて無防備な寝顔なんだろう。

絶対誰も見たことがないだろう“岬課長”の姿を見ている自分に、ちょっとした優越感を感じてしまう。



──でも、元奥さんは毎日彼のこんな姿を目にしていたのか……。


それに、この間岬さんが言っていた『君はどこか似てるんだな』という人の存在も忘れてはいけない。



会ったこともない元奥さんと彼の心に住んでいる誰かに、ほんの少しの嫉妬を抱きながらも私はゆっくり立ち上がった。


とりあえず泊まらせてもらおう。汐美さんにも報告しなくちゃ。


私は彼を起こさないように静かに荷物を持ち、「お借りします…」と一応囁いて寝室へと向かった。








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