この恋は、絶対に秘密!
「お電話ありがとうございます。ファインファクトリー総務、和久井でございます」

『──瀬奈かっ!?』



すぐにその声の主がわかって眉根を寄せる。

会社にまで電話してきたか……取ったのが私でよかったわよ。


私は岬さんにも負けない無愛想さを声に出して応答する。



「……どのようなご用件でしょう?」

『ふざけるのもいい加減にしなさい!ちゃんと会社には行ってるようだが……また家出なんてしてどういうつもりだ!?』

「言ったわよね?お父さんが考えを変えてくれるまで帰らないって」



誰かにこの会話を聞かれていないか警戒しつつ、声を潜めながらもきっぱりと言い放つ。



「私の要件を呑んでくれるなら汐美さんにそう伝えてください。今後一切、私情で会社には掛けてこないで!」

『ちょ、ちょっと待て!瀬』



──ガチャリ、受話器を置いて終了。


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