この恋は、絶対に秘密!
まったく……。

とりあえず私が会社に来てるか確認したかっただけなのだろうけど、未だに謝ったり折れる気配のない父にはイライラが募るばかりだ。


はぁーと深くため息をついた瞬間、再び電話が鳴り始めた。

まさか、またお父さん?

私はうんざりしながら再び受話器に手を伸ばす。



「お電話ありがとうございます……」



どうせまたお父さんだろうと決め付けていた私は、さっきとは打って変わったトーンの声で出た。すると。



『すみません。私、株式会社スミヤ、販売促進部の坂下と申しますが……』

「はぃっ!?」



電話の相手はまったく別人の男性で、私の声は見事に裏返った。



『御社の商品のことでご相談させていただきたいのですが、岬英司さんはいらっしゃいますか?』

「あっ、は、はい!少々お待ちくださいませ!」


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